2005年4月の日記

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2005年4月2日 土曜日

 うひー! 4月になってしまった! というわけで年度末進行でまた日記の更新が遅れました。でも、いきなり書きたい気分になったのは、気分のいい話じゃないけど、朝日新聞に載ってた読者アンケートを読んだから。ほら、例の入学式・卒業式の君が代問題ですよ。
 私はこんな非道な行いがどうしてまかり通っているんだろうと不思議に思ってたのだが、これを読んで納得というか。もちろん「アカの朝日新聞」(笑)だから、教職員に対する処罰には反対の人のほうが多いのだが、それでもかろうじて半数をちょっと超える程度。それに賛成意見を読んで鳥肌が立った。

「指示に従わないのは、生徒を指導する者としてふさわしくない」
「国家を歌うという当然の行為を巡って、なぜ執拗に反対する人がいるのかわからない」
「君が代は軍国主義を助長するという考えは理解できない」

 これってなんなんだろうね? 単なる無知なのか? そうかもしれない、と思うのは、反対意見はほとんどが50代以上、上のような意見は20代が多いからだ。若い人ほど右傾化・保守反動傾向が強いというのは、私も教えていて感じてるが、こういう人たちがこれからこの国を担っていくと思うと、ますます日本にいたくなくなる‥‥って毎回言ってるな。
 私はもう本当の教師じゃないし、若者を啓蒙してあげようなんて気は毛頭ないから、ここで反論を繰り広げるつもりはないが、全体主義の恐怖政治はほんのどうでもいいようなことから始まるってことを知るには、『茶色の朝』という寓話を、全体主義の恐怖を知りたかったら、前にも推薦したエリオット・パティスンのチベット・ミステリ(ハヤカワ文庫)を読むといいです。(それ以前にすばらしい物語だし) それでこれは中国人の話だけど、日本人もまったく同じことをほんのついこないだやってたということ、そういうことをした人たちも単に「指示に従った」だけだということを思い出してもらいたいです。


 いやー、しかし、忙しかった。その他もろもろもそうだったが、お店のほうも。うちの店もやっと店らしくなってきたというか、ちゃんと毎日お客さんが来るようになったな(笑)。(始めた頃は1週間誰も来ないこともめずらしくなかった)

 最近びっくりしているのは、中国の経済躍進。いや、それほど大勢ってわけじゃないんだけど、めちゃくちゃ熱心なコレクターが多くて(もっぱら4ADだけど)、文字通り奪い合うように買っていく。それも一度に何万円も!
 私が驚くのはわけがある。だって、中国って言ったら、それこそほんのちょっと前まで、英語が話せるってだけ、西洋音楽なんか聴いてるというだけで公安に引っぱられた国でしょう? (上のパティスンの小説に、親の世代の話として、そういうのがしょっちゅう出てくるので、よけいその印象が強い) インターネットだって自由な閲覧なんかできなかった。もちろん、中国が急速に変わりつつあるってことは、私も知識としては知っていたが、自分で実感すると本当にびっくり。
 しかもいきなり4ADってのは進歩早すぎるよ!(笑) それとも抑圧が強かっただけに反動も過激なんだろうか? それにいくら経済成長したからと言って、物価の感覚も日本とはだいぶ違うはず。うちのようなコレクターショップで買い物する人は、ほぼ例外なく豊かな国の人だけである。(それでもうちは同類の中ではいちばん安いんだけど) まあ、中国は貧富の差もすごいらしいから、こういう人はその頂点の部類なんだろうけど。 

 で、私はどうしているかというと、もちろん誠心誠意サービスしてますよ(笑)。バカな政治家のおかげで日中感情が悪化している中、せめてもの草の根外交のつもり。絶対、西洋人より親切にしてるな。(日本人はもちろんですよー) だって、この人たちのほうが金払いがいいんだもん(笑)。と、つい本音が出てしまったが(笑)、前にも書いたように中国人は義理堅いので、親切にしてもらったことは忘れないし、必ず何らかの形で(プレゼントをくれたり、友達に紹介してくれたり、他の店では買わないでくれたり)お返しをしてくれるので、多少損しても親切の押し売りをしておくほうがいいのだ。
 英語が上手(ヨーロッパ人のほうが下手)で、フレンドリーなのもえらいと思う。恐るべし、中国! 日本なんて数十年後は中国の属国になってるんじゃないだろうか?(笑)

2005年4月4日 月曜日

 最近、レコード・ハンティングをしていて頭に来るのは中古CDの高さ。世の中デフレだっていうのに、なんでCDの値段だけ上がる? 数年前は300円均一コーナーにかなり掘り出し物がゴロゴロしていて、私はそういうのを見つけ出して売ることでなんとかやっていたのだが、最近ではバーゲンコーナーにあるのは「50円だって高い!」と思うような本当のクズだけ。だからその頃からみると売り上げは飛躍的に増えているのに、収入はぜんぜん増えないばかりか、仕入れ代ばっかりかさんで泣いている。
 なんでかなー? 最近ほとんど売ってないから知らないが、中古屋の買い取り価格がそんなに上がってるとは思えないだけど。要するにCDが売れなくてどこも苦しいってことでしょうかね。
 特にひどいのが新しめの日本盤の中古。それにレコファンとかブックオフとか昔は安さが売りだった店が2000円以上の定価付けて売るのはどういうこと? 大学生協のセール期間なら新品CDは20%OFF、つまり新品が2000円で買えるのに、誰が廃盤でもない開封済みの中古にそんな金出すかよ。
 とか言うと、「だって大学生じゃなきゃダメじゃない」と言われるかもしれないが、なに、大学卒業しても組合員証返さなければいいのだ。私はそうした(笑)。大学なら50才でも60才でも学生でおかしくないからね。(この手がまだ使えるかどうかは知りません。私もさすがに気がとがめて教員証に変えた) ちなみにこの手は学生証でも使える。私は30過ぎまで学生料金で映画見てた(笑)。

 そんなことを考えながら、New Orderの新譜を見ていたら、やっぱり聴きたくてたまらなくなって開封してしまった(笑)。「自家用」は中古が出回るまで待つつもりだったけど、これなら新譜買った方が安いんだもん。というわけで、ここでディスク・リビュー。


New Order / Waiting For The Sirens Call (2005)

 とりあえずは何を置いても、“Krafty”日本語バージョンについて。マヌケだのなんだのと、聴く前からさんざんバカにしたが、一聴しての感想は、カワイイ!!! 確かにマヌケかもしれないが、それ以上にかわいい! これは日本のNew Orderファン、というかBarneyファンにとってはたまらんものがありますな。
 しかし、聴きながらふと、「なんか英語なまりの日本語で歌うJポップみたいだな」と思った。理由はすぐに思いつくのであって、細い喉声、音痴、(英語でも)母音のはっきりした英国アクセント、というわけで、Barney Sumnerというシンガーはもともとすごく日本人っぽいのだ。だから日本語で歌ってもぜんぜん違和感ないばかりか、違和感なさすぎ! おまけに(英語でも)たどたどしく舌足らずの歌い方だから、ほとんどいつも通りのNew Order(笑)。
 なるほど〜、New OrderはJポップだったのか。ちがうー!!! 何が違うんだか私にもよくわからんけど。

 気を取り直して、ちゃんと最初から。1曲目、“Who's Joe?”のイントロを聴いた瞬間、あれれ! なんかやけに洗練されたギターが入ってるやんけ! Barneyがいきなりギターうまくなった? はずはない、ってところで思い出したんだが、そういや、このアルバムからGillian Gilbert(ちなみに彼女の名前は「ギリアン」じゃなくて、「ジリアン」ですからね)が抜けて、MarionのギタリストPhil Cunninghamが入ったんだった。私はMarionのファンで、だからすごく喜んでたのに、すっかり忘れてた。
 Marionもまた、「一時日本でも英国でも熱狂的に受けたのに、あっという間に忘れ去られて解散し、CDは中古屋で300円で売られているけど、あきらめきれない私はいまだにしつこく追いかけ続けているバンド」のひとつ。ふー、能書きが長い。
 うん、とにかくめでたい。なんで私が「New OrderよりElectronicのほうがぜんぜんいい」と言い続けているかと言うと、(曲の良さもそうだけど)とにかくギターが段違いだからなのだが、これでちょっとはそれに近づいた。Gillianは最初から単なる数合わせのメンバーだったからいなくても別に気にならないし(笑)。どうせならサブのドラマーもベーシストも入れればいいのに。というのは嘘だけど。

 実はNew Orderは私の「最長不倒距離バンド」である。上記のように、音楽に関しては私は決して飽きっぽいほうではないのだが、なぜか私が心から愛したバンドはアルバム2、3枚で解散してしまうのでね(苦笑)。たまに長く保ったとしても、その時はたいてい才能が枯渇して見放されるか、私が飽きてしまう。その点、New Orderは25年間飽きもせず愛し続けているという稀有なバンドである。(実はDepeche Modeもまだ飽きてはいないのだが、こっちは諸般の理由でコレクションを断念したので、やや熱が冷めている)
 でも前作“Get Ready”はなんかぜんぜんピンと来ないアルバムだったので、「いよいよNew Orderも終わりか」と観念していたのだ。

 ほんとは1曲ずつやりたいけど、とてもそんな時間はないのでいきなり結論に行ってしまうと、これはNew Orderとしてはいちおう「及第点」のアルバム。少なくとも前作よりずっといい。全盛期の域に達する、あるいはそれを超えるものではないけどね。私としてはこれにもうちょっと暗さと緊張感が加われば文句なしなのだが。いや、Joy Divisionに戻れと言ってるんじゃありませんよ。だいたいそんなの不可能だし、私も望んではいないし。でも最近のNew Orderの口当たりの良さと明るさはちょっといや。
 ラストの“Too Much Overtime”は唯一異色というか、New Orderとしては初めてと言っていい「ロックっぽい」曲で、ライナーではべたぼめしているが、私はこういうのは好きくない。

 昔、インタビューでHookyが、「俺らなんかどうせ60になっても場末のクラブで“Blue Monday”をやってるのさ」と自嘲気味に言っていたが、それもひとつの生き方っていうか、この人たちはそれでもいい。
(念のため断っておくと、“Blue Monday”はそんなに好きな曲じゃないし、New Orderにはまだそれ以上を期待している。Electronicではひとつの「New Order進化形」を見せてくれたわけだし)

 ついでにPeter Savilleはやっぱり手抜き! 中の写真もぜんぜん良くないし。アートワークがヘボいとコレクション意欲が減退するんだけどなあ。


 なんかNew Order評があまりにあっさり終わってしまったので、ついでに最近の買い物についても。えーと、最近自分用に買ったのは、UNKLE“Reign”のプロモとManicsのアルバム・プロモ、っていうのは前に書いたかな? これはどっちもずーっとeBayで張ってたのだが、なかなか値段が下がらず、今ごろになってやっと買えた。
 Kasabianの青いアメリカ盤。これもいちばん安いところを捜して買った。Kasabianはまだそんなに好きかどうかもわからないのに、がんがん買い込んでいるのはやっぱりアートワークのせい。
 でも最近の最大の掘り出し物は、UNKLEのセカンド・シングル“Berry Meditation”の12インチ・プロモ。実は私のUNKLEコレクションはほとんど停止している。というのも、私はUNKLEはeBayで買えない立場になってしまったのだ! というのも、私が持ってないようなUNKLEアイテムはeBayじゃ天文学的に上がってとても手が出ない上、(コレクター熱をあおって値段を釣り上げているのは私にも責任の一端があるんだけど)、対するビダーはまずまちがいなく私のお客さんなので、手が出せないわけ。(新譜なら数が出るのでなんとか買えるわけ) でも、英国プロモなんか日本じゃ見つかるはずがないと、ほとんどあきらめていたのでこれはうれしかった。値段も1400円とただ同然だし、未使用品だし。
 UNKLEコレクションの醍醐味は、いつも言うがスリーブ・アートのすばらしさ。しかし、なんでこの人たちは正規盤よりプロモのほうが豪華で美しいんだろうなあ。

 もひとつおまけに最近聴いた新人についても。

 Dead 60sはあかしさんが、「Clashそっくりだからぜひ聴いて」と言ってたのに、忘れていたが、常連さんが日本盤を注文してくれたので思い出して聴いた。たしかにClashのレゲエそっくりで、なつかしい感じはするが、でも歌がJoeじゃないもんなー。というこの差は私には乗り越えられないぐらい大きい。
 あと、はやりのパンクっぽいバンドもいくつか聴いたんだけど、どれもかっこいいと思ったのだが、名前を忘れた(笑)。とにかく新人が多すぎて覚えきれないよ! これがビデオのない悲しさで、テレビでビデオを見ると、やはり視覚効果が重なるからか、一度見ただけでもけっこう覚えていられたのに。ひとつはDogというあんまりな名前だったので(笑)、それだけ覚えてるんだけど。

 Killersは「アメリカのDuran Duran」と聞いたときから「ケッ!」と言ってバカにしていたが、(でも売ってるけど)、こないだレコード屋でかかってるのを聴いた(たぶん)アメリカのバンド(名前を忘れたが、すごく人気のあるやつ)はまるっきりニュー・ロマンティックだったので思わずコケた。
 なんか、ニューロマというのも、一定期間を置いてリバイバルするなあ。ちなみに私はDuranは熱狂的ファンだったし、ニューロマにもノスタルジア持ってるが、今やる意味はわからない。だいたいニューロマなんて、当時は現地でも時代錯誤と言われて思い切りバカにされてたのにね。
 しかし、商売をやってると、現役当時はバカにされてたようなバンドが後々、意外な高値がつくということに気がついた。今、すごい値段がついてるようなプログレのレコードなんて、当時はB級・C級扱いされてたようなのが多いし。確かにそういうレコードは数も売れないし、大事に持ってる人も少ないから、稀少盤になってしまうんだろう。でも当時を知ってる人はなつかしんで聴きたくなったりするわけ。
 ふむ、だったら今なら誰だろう? 知らんわ(笑)。とりあえず、Take Thatコレクションは捨てずに持ってるけど(笑)。もっともあれは売れすぎたし、Robbieはむしろ今のほうが売れてるからだめか。

2005年4月8日 金曜日

花粉症のはなし

 ハクシッ! ハクシッ! ううう‥‥家にいるとなんでもないのに、外へ一歩出るとクシャミ・鼻水が止まらない。今年はほんとにひどいや。まったく桜どころじゃないよ。花を見ただけで、花→花粉→くしゃみという連想が働いてしまって、憂鬱な気分になる。
 でも私に言わせれば花粉症だけならまだまし。私なんかほとんどあらゆるものにアレルギーなので――花粉はもちろん、花の香り、チリやホコリ、動物の毛、気温差、低気圧、風――よって、一年中鼻を垂らしている。でも確かに春がいちばんひどいのは確か。
 昔は日本に花粉症の人なんてほとんどいなかったから、人に説明するにもhay fever(干し草熱)という英語を使わなくてはならなかった。もちろん干し草にもアレルギーです。それを知ったのは馬をやってたころ。飼い葉としても寝わらとしても、大量の干し草を扱うので。ただ、毎日だと免疫ができて治っちゃうんだよね。私は猫アレルギーでもあるのだが、不思議と家で猫を飼っているときは大丈夫だった。今は家に猫がいないので、またアレルギーが復活して、実家に帰るとくしゃみが止まらなくなる。
 電車に乗ったり、店に入ってもまたくしゃみ。電車というのはすごい汚れていて、ホコリが充満しているんだよね。最近の電車は窓が開かないからよけい。おまけにこれからクーラーが入って扇風機が回るようになるとたまらない。同様に、多くの人が集まる店の中もホコリのかたまりみたいなもの。特に古本屋と中古CD屋がひどい。
 でも、日本人に花粉症が増えて良かったですよ。電車の中とかでくしゃみしていても、変な目で見られないもん(笑)。昔は目を真っ赤にして、鼻をズルズルすすり上げながらくしゃみしていると、周囲の人が露骨にいやな顔して、隣に座った人がすっと席を立つこともあった。アレルギーだからうつるもんじゃないのにー! 同様に、往来で立ち止まって鼻をかんでいても、ひんしゅくかうこともなく、「お気の毒に」という目で見られるようになった(笑)。花粉症の季節じゃないとやっぱり変な目で見られるけど。
 だから電車に乗っていて、くしゃみや鼻をかむ音が聞こえてくると、「今日のご同病は1車両に何人」とか数えたりして(笑)。これが私の春の風物詩(笑)。

吾妻ひでおのはなし

 今日、(CD以外で)買ってきたのは、吾妻ひでおの『失踪日記』と、それに合わせて出た大塚英志の『Comic新現実Vol.3 吾妻ひでお特集』。1か月ほど前に出た本だが、例によって貧乏な私は新刊が買えないので、まんだらけで古本を買う。
 吾妻ひでおと言っても、全盛期は80年代だから、若い人は知らん人もいるだろうなあ。でもなんと形容したらいいのか、「元祖ロリコン・マンガ家」、「元祖不条理マンガ家」というだけじゃ、あまりに不十分だし。とりあえず、私個人の思いだけ書いておこう。

 私はマンガに関してはとてもマニアと言えるほどのものじゃないが、それでも長く生きてるからには長くマンガも読んできているわけで、その中で出会ったいちばん大切なマンガ家が吾妻ひでおである。

 基本的に、私はマンガはギャグしか読まない。もちろん少女時代はなんでもかんでも手に入るものはすべて読んでいたのだが、年を取るにつれて好みがうるさくなってきて、(音楽は英国インディーしか聴かないのといっしょで)、ギャグしか受け付けなくなってきた。
 理由はギャグマンガのほうが高尚だと思ってるから。ストーリーマンガは(絵はともかく話が)私には幼稚すぎて。「逆だろー!」と思うでしょ? 甘ーい! プロの小説読みの目から見ると、たとえまじめな「大人マンガ」でもストーリーが単純すぎ、凡庸すぎて。それにくらべてギャグマンガのほうがはるかに斬新で、実験的で、なおかつマンガでしかできない表現に満ちている。だいたいギャグのほうが書くのははるかにむずかしいし、ページあたりの情報量も多いし。
 動物だって、喜びや悲しみや怒りや嫉妬という感情は持っている。でも笑うのは人間だけだ。「笑い」というのは非常に高度な知的活動であり、人を笑わせるってのは大変なことなのである。現に、このバカ文だって、毎回なんらかのギャグを入れるためには血のにじむような努力を‥‥してないけど(笑)。
 そんなわけで、ギャグを書くというのは大変なことなので、人気ギャグマンガ家には書けなくなったり、自殺したり、発狂したり、失踪したりする人が多いと言うことはけっこう知られていると思うけど、吾妻ひでおも例外ではなかった。

 そのギャグというのもポイントだが、私の場合、吾妻ひでおに入れあげた最大の理由は同じ「SF者」という点である。(SFは本当にマニア。ただし音楽といっしょで洋もの専門) もっとも、彼の場合、ほとんどSFらしいSFは書かせてもらっていないんだけど、本当に書きたかったのはSFというのがよくわかるし、書かせてもらえないうらみつらみもマンガの中にさんざん出てくる。
 ところで、日本でSF者であることがそんなに肩身の狭いことだとは、吾妻ひでおを読むまで知りませんでしたよ、私は(笑)。変なの。だって、日本のマンガのパイオニアである手塚治虫も石森章太郎も藤子不二雄(Fのほうね)もSFマンガ家だし、「世界の大友」(吾妻さんとは親しかったらしく、マンガにもよく出てくる)だってSFなのに。
 要するに「SF=マニア」ということになってしまって、マンガみたいな巨大産業では「マニア受け」は何がなんでも許されないことなのね。言ってみれば、私が「インディー」にこだわるのもその部分が大きい。メジャーではあくまで大衆に受けるものしかやらせてもらえないから。というか、私が好きになるバンドがみんなポシャるのはそのせいか?(苦笑)
 それで、私の考えるSFの本質は「センス・オブ・ワンダー」。(古いっすか? 古い女なので) 吾妻ひでおのSF作品(主としてマイナー誌に描いたものだが、メジャー誌の連載にも密かに紛れ込ませてある)には、「どうしてこんなこと考えつくんだろう?」とあきれるほどの、めくるめくようなセンス・オブ・ワンダーがあった。だからメカは「ぐねメカ」しか描けなくても彼はSF作家なのだ。

 というわけで、本来マニア向けのマンガ家だったのに、吾妻ひでおはなまじメジャーのとば口に立ってしまった、というのが彼の悲劇の始まりだったのかもしれない。一時は本当にすごい人気だったんだから。アニメ化もされたし。理由は明白。SFともギャグとも関係なく、かわいい女の子が描けたからである。
 そこでロリコンの話だが、私は少年ロリコンではあるが、少女は大嫌いだ(笑)。前にも書いたかもしれないけど、私の理想の女性は「おっかないババア」なので(笑)、ぶりっこ少女とは正反対だし。おたく業界にはんらんしている「美少女」のたぐいは、見ただけでおえー!である。だいたい、美少年が男の敵なのと同じで、(ヘテロなら)自分よりかわいい女の子が好きな女なんていない(笑)。
 なのに、その私が読んでも、吾妻ひでおの描く少女は危険なぐらいかわいくて色っぽい。猫耳少女もメガネっ娘もルーズソックスも吾妻ひでおが元祖だが(私はおたくに関しては無知なので間違ってても知らない)、それがみんな致命的にかわいい。
 彼は美少年が描けるのも吾妻ひでおが好きな理由のひとつ。どうやら彼も美少年は嫌いらしくて、顔はかわいくてもひどい性格に描かれるか、情けないか、いじめられるか、変態なのだが、そこがまたたまらなく良い(笑)。やっぱりかわいい女の子が描ける人はかわいい男の子も描けるのね。
 しかし、彼のロリコンマンガって、もう復刊はされないだろうな。なにしろあのかわいい絵で、美少女強姦したり、殺して食ったりする話ばかりだもん(笑)。

 おっと、ギャグをほめるのを忘れてたが、ギャグというのは口で解説したら何ひとつおもしろくないので、興味のある人は読んでください。とにかくネームのひとつひとつ、何度読み返してもうなるほどすばらしく天才的だった。

 それで『失踪日記』である。ああ、もうRicheyのおかげで、「失踪」という文字を書くだけで胸が痛む。Richeyのことがつらいのは、彼が失踪せざるを得なくなるまでの過程、彼が内部からボロボロになって崩壊していく過程を逐一見ていたからだというのはわかってもらえたと思うが、実は吾妻ひでおも似たようなものだ。人気の頂点で、妻子を捨てて、すべての連載を放り投げて失踪したのだが、その前から荒れて苦しんでる様子は連載を読んでいても感じた。
 とにかくそれで山に入って死のうとしたが死にきれず、ホームレス生活。警察につかまって家に送り返され、またマンガ家に戻ったのだが、二度目の失踪をして、今度は配管工としてガテン生活、またつかまって送り返されたら、今度はアル中で精神病院に強制入院。今は酒は断ったらしいが、現在は鬱病。と、この悲惨な体験をマンガとして描いたのが『失踪日記』である。
 はっきり言って読むのがつらかった。でもファンとしては読まないわけにもいかなくて。で、読んでの感想はすごい! いちおうギャグマンガ仕立てにはなってるが、現実の話だけにこれは笑えないよー。でもすさまじい体験したんだということはよくわかる。

 たとえば、ホームレスになってゴミ箱の残飯あさりというのは、いちおう常識の範囲内としてわかる。だけど、サラダ油をうまいうまいと言って「飲む」ほどの飢えって、私には想像つかない。アル中の幻覚や禁断症状のすさまじさも、彼自身以前からギャグとしては描いてるんだが、本物だと思うと本当にこわい。彼の入れられた精神病院もこれじゃ刑務所と変わらないって感じだし。
 これでも本当に悲惨な部分は書いてないというのだが、これより悲惨なことってあるの? おしめを付けてベッドに縛り付けられるところまで書いてるのに。
 もうひとつ、これがショックなのは主人公が「吾妻ひでお」だからだ。「作者が出ないマンガなんてマンガじゃない!」と豪語して、ほとんどの吾妻マンガに「出演」してきた、どの吾妻キャラよりかわいくて(作者は普通のおっさん。自画像はあんまり似てない)おもしろかった「吾妻ひでお」がこんなひどい目にあうだけでもショック! もちろんマンガの中では彼はもっと悲惨な目にあっているのだが、それはあくまでフィクション。これは現実だからね。とにかくひたすら気の毒でかわいそうとしか。

 そういう暗いエピソードの中に、これこそ作り話としか思えない嘘みたいな話もまじるんだけどね。警察署に連れて行かれたら、警官の中にファンがいて、色紙描かされたとか、配管工をしていたとき、東京ガス(の下請けだったらしい)の社内報で原稿募集しているのを見て、マンガ投稿したら採用されたとか。(でも誰も気付かなかったらしい。本名で写真も載ってるのに!)。
 なんかこんな話はいっぱい聞いたなあ。マンガ持ち込みしたらボツにされたとか(編集者はあの吾妻ひでおとは気付かなかったらしい)、絵描いてまんだらけに売りに行ったとか。(私がこの本買った中野のまんだらけだよ! あの買い取りコーナーに本人が並んでたんだよー!)
 警官のセリフに「先生ほどの人がなぜこんな‥‥」というのがあったが、本当にあれほどの人がなんでそんなことまでしなきゃならないのかと思う。私だったら、ヤフオクで直筆イラストと言って売るのに(笑)。私はきっと買う、1000円なら(笑)。でも逆に言うと、「俺は吾妻だ」というプライドがあったから、こういう逆境にも耐えられたんだと思うけど。
 でもやっぱりわからないよね。これ読むとすごい強い人としか思えないんだけど、そういう人がなんでここまで精神的に追い詰められるのか。

 でもちょっぴりわかる部分もあって、そのためよけい身につまされる。というのも、私も正業に就いていたのに、そこから逃げ出してプー生活してるから。私は売れたことなんか一度もないし、教師としても研究者としても才能なかったですけどね。でも、大学辞める前は、「もうこんなことやっていたら気が狂う、死んでしまう! 何がなんでもここから逃げ出さなきゃ」と思い詰めていたので、その気持ちはわかりすぎるほどわかる。
 でも私が情けないのは、いまだに教師は「バイト」として続けていること。これなくなったらマジ飢え死にだからねえ。(最近また商売が不景気) それに吾妻さんやRicheyは、他の何より自分自身から逃げ出したかったみたいだけど、私はそれはしなかった。この違いってなんなんだろうな、と思う。
 ところで、私はアルコールにもアレルギーで、文字通り一滴も飲めないのだが、飲めないで本当に良かったと思う。じゃなかったら完全に私もアル中になってたから(笑)。でもニコチン中毒のほうはますます進行して、「仕事辞めたらお金がないから禁煙する」なんていう当初の誓いはどこへやら、確実に家計を圧迫しているにもかかわらずやめられない。でもいいよね。ニコチン中毒で幻覚見たり、錯乱して人殺したりするやついないもん。自分が肺ガンで死ぬだけで(笑)。あー、なんか私まで暗くなってしまった。

 それで吾妻ひでおの今後だが、どうぞ早く全快してくださいとは心から祈っているものの、たとえ全快して完全にマンガに復帰したとしても、残念ながらもう何も期待していない。あの吾妻ひでおは死んだのである。それは最初の失踪後の作品を見てもわかった。絵柄もギャグもストーリーも、かつての面影はまったくないと言ってもいいぐらい。失踪前は、たとえ見るからに手抜きのやっつけ仕事でもギラギラと光っていた天才のきらめきがもうどこにもない。才能ってそういうもんなんだよね。だから、たとえRicheyが生きて戻ってManicsに復帰したとしても、もうあのManicsは二度と帰ってこないことだけは確か。 

2005年4月12日 火曜日

みんな大好きな貧乏のはなし(笑)

 ううう、また貧乏のどん底のじゅんこです。もっとも理由はわかっていて、3月末から4月初めは欧米の税金シーズンだから(向こうは給料天引きじゃなくて1年分まとめて払うらしい)、この時期になるとお客さんがパタッととだえるのは毎年のことなんだけど。しかし、その日暮らしはつらい!

 などと、ビンボー、ビンボーばっかり書いているせいか、テレビ朝日の「銭形金太郎」という番組から、出演者募集のメールが来てしまった!(爆死) これって無差別に送ってるわけじゃないよね。やっぱり検索かけてビンボそうなやつを捜して来てるんだよね? それにしてはStrangelove Recordsのほうのメールフォームから来たのが謎だが、今は「自動メルアド集めロボット」に引っかからないように、わざわざフォームを作ってあるわけで、ということは、この日記読んで、リンクをたどってお店からメールしてくれたわけ。お仕事とはいえ、ご苦労さんです。
 で、関心があったらメールか電話してくれと言うのだが、「愉快なビンボーさん、夢を追うビンボーさんを紹介する番組です」って、私は愉快なビンボーさんか?(爆笑) 貧乏なのは事実だが、本人はちっとも愉快じゃないし、あんまり人に教えたいものじゃないのだが。まあ、悲惨なビンボー話なら山ほどあるんですよ。でもそういうのはここには書かないだけ。まあ、「夢を追うビンボーさん」というのはちょっとは当たってるかもしれない。夢かどうか知らないけど、好きなことをやるためにあえて貧乏に甘んじてるわけだから。
 ただ、私の貧乏なんて本当の貧乏じゃないと思うけどね。好きでやってる貧乏なんて。だいたい、世の中には働きたくても仕事がなかったり病気で働けなかったりして、本当に困っている人も大勢いるのに、私みたいなのが貧乏でございと言ってテレビなんか出ていたら、私なら怒るよ。実際、この手の貧乏番組見ていると、「これなら私のほうがよっぽど貧乏だ」と怒ることもよくあるし。ってことはやっぱり本当に貧乏なの?(笑)
 まあ、これでも私はしゃべくりのプロでもありますから、テレビ出ればそこらの素人よりはよっぽど笑いを取れる自信もありますけどね。でも自分の専門で(英語英文学のほうでも、レコード屋のほうでも)話するならともかく、貧乏でテレビ出るのなんかやだー!
 うーむ、どうしようかなあ? テレビに出て恥さらすのなんてごめんだが、話だけはおもしろそうなので聞いてみたいような気もするな。と、まだ迷っているのは、テレビの出演料って法外に高いというのを聞いてるからで、やっぱりビンボくせー!(笑)

 じゃあ、皆さんが期待の貧乏話。もっとも私の話って「何を買った」というのばっかりで、ちっとも貧乏らしくないんだけど、買い方が貧乏くさい(笑)。
 今日買ったのはDKNYのジャケット。と言っても、例によって古着で2000円(笑)。
 実は私、服も好きなんですけどねー。貧乏なのと、年と体型のせいで着れるものが少なくなったので、ファッションとはすっかり無縁になってしまった。それでも教師をやってるといちおう外へはちゃんとした格好で出なくちゃならないので、古着のお世話になってるわけ。家では穴のあいたダイソーの200円Tシャツを着ていても、外へ出るときはダナ・キャラン!
 いつもは100円のしか買わないのだが、さすがに100円の古着は1回着たら捨てたくなるようなのが多いということに気付いて、それならブランドものを20回着て捨てた方がいいやと(笑)。こういう生活だと、マジな話、クリーニングに出すより捨てて新しく買った方が安いんです! なんかやっぱり貧乏なんだかぜいたくなんだかわからないや(笑)。
 家では前にも書いたようにもっぱらメンズの古着。特に最近は迷彩柄ばっかり着ている。そこで重大な発見をしたのだが、迷彩というのは体型を隠してくれる! 文字通り、カムフラージュになって、デブがばれにくいのだ。外へもこの格好で行きたいところだが、この年のおばさんではそれができないのがつらい。オヤジなら別にそれほどおかしくないのに。差別だわね。

 今日の届きものはHMVで買ったUNKLE、Manics、New Order、Kasabian。ManicsのシングルのCD1だけがなぜかどこにもなかったので、送料節約のため他の新譜と合わせて買った。そしたら店にはうなるほどあるKasabianが取り寄せになってしまい、すごく時間がかかった。おまけにUNKLEの12インチは新品なのにジャケットに傷があるし。もう、ジャケットの傷みやすいビニールは店頭でしか買わないことにした。
 自分で見つけたのはThe Musicのプロモカセット。

2005年4月19日 火曜日

商売のはなし

 クーン、と落ち込んでいるじゅんこです。もっとも私が落ち込む原因は単純明快で、いつも金欠、つまりお店が不振というだけですが。商売には波があるのはわかってるけど、それでもここのところほとんどなかった売り上げゼロの日が何日も続くとがっくりくる。今日になってようやく何件か注文があったけど。おかげで食べるだけで精一杯、自分がほしいものなんか何も買えない。ほしい本もCDも当分おあずけ。
 それでも売れないのは「いつかきっと売れるさ」と、まだ我慢ができる。もっと深刻なのは売るものがないこと。というのも、ここのところ、仕入れに出かけても収穫ゼロ、まったく何も買わないで帰ることが、これまた数回続けてあったのだ。
 これはもう何度も書いてるけど、この商売始めた頃は、ほしいものが多すぎて持ち切れないのもめずらしくなかったのだ。それが、1枚もないなんて! 交通費と1日分の「労働」がパーというのは別としても痛い。というのも、中古レコード屋の取り柄は商品が回転することで、新入荷品がなく、売れ残りしか並んでないんではお客さんが離れてしまう。いちおう、こういうこともあろうかと、店に出してないストックは多少ため込んであるが、これが尽きたらどうしよう? いや、それどころか、在庫がなくなっちゃう恐れだってある。売るものがなくちゃ店は成り立たないのに!
 なんでこうなったんだろうなあ? 私も経験を積んで、売れるものや置いといたほうがいい商品はわかってきたし、捜し物の幅は以前よりずっと広くなってるのに、それが1枚もないとは。あっても前に書いたように値段が高すぎる。これで消費税20%なんてなったら、本当に首つりものだ。
 もっとも、これも解決策はあって、今はもっぱら日本盤を海外に売るのが専門だが、これを逆転させて海外から輸入して日本で売るようにすればいいのだが、それも踏み切れない。だって、せっかくついた海外のお客さんを切り捨てることなんてできないし、日本で何が売れるのかもほとんどわからないし。
 あー、これはもう考えても頭痛くなるだけだからやめた。

Rain Bandのはなし

 で、「自分のものは何も買えない」なんて書いたが、eBayで1ポンド足らずならいいやと思って買ってしまったのが、Rain BandというバンドのCD。知らんでしょうねえ、皆さん。私も知らなかったもん。例によって、お客様に教えてもらったバンド。
 「Mansunに似ている」と言われたので、試聴してみたらほんとに似てる!と思って即買い。今はそれを聴いてるところ。うーん、やっぱりMansunにはあまり似てないな(笑)。というか、やはりMansunと言われて我々ファンがいちばん最初に思い浮かべるのはPaulのボーカルで、Paulには声がぜんぜん似てないから。まあ、これも「プログレ」と言われそうな、凝った曲作りや叙情的なところは似てるとも言えるけど。
 これはなんというのか、私は音楽ボキャブラリーが貧困なもんで、やっぱり英国インディーとしか言いようがないのだが、その中でもダンス・オリエンテッドなバンドで、と言ってもKasabianとかとはぜんぜん違って、もっと叙情的で美しく、切ない哀愁のメロディーが魅力。
 これはPineapple Thiefのときも言ったような気がするが、やっぱりSouthに似ている。というか、声が似てるので。それで私はこの手の声、この手の節回しのシンガーには無条件に弱いので、やっぱり好き! いいじゃん! そこはかとなくうらぶれた、マイナーな感じがこれまたPineapple Thiefに似てるのだが。ジャケットデザインも好みだし、タイトルとかもすてきだし、またお気に入りバンドが増えてしまった。
 で、さっそく皆さんにも紹介しようと、オフィシャルサイトを捜したところ、消えている! ついこないだまであって、私はそこで試聴したのに! 考えてみたらこのアルバム自体2年前に出たもので、その後何も出てないし、これまた早々に消えていくお気に入りのひとつになりそう。

 実は私はこのバンドの前身も知っている。SussedというバンドのリードシンガーRichard Nancollisが結成した新バンドがこのRain Bandというわけらしいが、Sussedはこれよりさらにマイナーで、UBLにさえ載ってない。(Rain Bandはいちおうアルバムだけ載っている) うーむ、これもマイナーからマイナーへ、消えていく定めの人なんだろうか。なんで私が気にするバンドはこういうのばっかり‥‥
 なんでSussedを知ってるかというと、店で売ってるからだ。たぶん最初は5枚1000円とかのバーゲンで数合わせのために買ったのだが(笑)、なぜか注文が何件かあったので。ちなみにうちみたいなマイナーショップにわざわざ本国から注文が来るってことは、本国でもCDが手に入らないほどマイナー、でも根強いファンがいる証拠。だから、Sussedのシングルは意識して入れていた。
 もっとも、私自身はそれほどピンと来なかったので、特にいいとは思ってなかったんだけどね。今またあわてて引っ張り出して聴いてるんだが、確かにボーカルは同じ人で、声は好きだけど、バンドはOasisみたいな典型的なギターバンド、ただしもちろんOasisよりはヘボく、当時は感心しなかったわけもわかる。やっぱり、この手の声、この手のシンガーはこっちのほうが合ってるわ。
 ところで、私がSussedを気にしていたもうひとつの理由はシングルにポストカードが入っていて、それで見たメンバー(のうち2名)が私好みの美少年だったこと(笑)。もちろん当時は誰が誰かも知らなかったが、アルバムの写真と見くらべると確かにRichardさんは「美少年」のひとりだったが、ずいぶん老けてやつれましたね。やはり生活苦か(笑)。
 くそー! Sussedよりは確実にスケールアップし、進化してるのになんで売れない? というのはもう言うだけむだだからやめましたけどね。でもいいものは売らなければいけないという使命感に駆られて、さっそくお店用にもう1枚注文しました。入ったらここでサウンドクリップを提供するつもりなので、ぜひ聴いてください。ついでにSussedは店から引っ込めて自分のものにするかどうかも考慮中。こればっかりやってるから儲からないんだけど(笑)。

Gene Loves Jezebelのはなし

 私のような商売やってると、海外ミュージシャンからメールをもらうこともめずらしくない。主として日本でのプロモーションを求める新人バンドからの売り込みだけど。でも私はこの通り、ドマイナーな個人業者で、レコード会社にもなんのコネもないからどうすることもできないんだけどね。
 でも今日は久々に大物からメールが来た。80年代に人気のあったGene Loves Jezebelというバンドだけど、私としては、「まだあったのか!」というだけでも驚き。
 実は私はそれほどファンでもなかったが、印象だけは強かった、というのも、例によって美少年だったから(笑)。お化粧した美形の双子兄弟のバンドだったので、主として婦女子に受けてたように思う。その美形の双子の片割れのMichael Astonくんからのメールだった。ひえー!と思う程度には好きだったわけだが。
 なんでも久々のアルバムを出したので、日本で発売してくれるレコード会社か、ジャパンツアーをアレンジしてくれるプロモーターを知らないかという依頼。
 しかし、皆さん、なんでそれを私に頼むかね? 見るからにシロウトそのものの、こんなマイナーなショップに? それだけ日本の音楽サイトに英語のが少ないっていうだけだろうが。うーん、ワラをもつかむって感じですか。
 それで普通はいちいちそんなのに返事は出さない(商売の足しにならないし)のだが、さすがにこれだけの大物には丁重にお返事出しました。あー、ちなみに現在の写真も見ましたが、さすがにかつての面影はなかった(笑)。

2005年4月21日 木曜日

学校のはなし

 新入生の皆さま、ご入学おめでとうございます。って、今ごろ何言ってんだか(笑)。とりあえず、私も先週から大学の仕事が始まったので、今日は学校の話。いや、しかし最近の大学は小学校並みに早く授業が始まって、夏休みに入るのは小学校より遅いからやんなっちゃうな。昔はまともな授業が始まるのはゴールデンウィーク後って感じだったのに。

 早稲田の法学部は今年から新校舎が建って、今はそのピッカピカのビルで仕事をしている。いやー、さすがお金持ち! エスカレーターのある大学なんて初めて見たよ! (一部だけど)床や階段の手すりが木なのも高級感があって良い。
 そういや、これまで使っていた校舎は階段のコンクリが長年多数の学生に踏まれたせいですり減り、ツルツルすべるばかりか明らかに傾いていて、雨の日なんか手すりにしがみついて恐る恐る上っても落っこちそうになった。
 当然トイレもゴージャス! な、なんと、女子トイレに化粧コーナーがある! という驚きは、これまでの早稲田のトイレを知らなければ理解できないでしょうねえ。私の感覚では昭和30年代の学校のトイレって感じ。出入り口の戸は木の引き戸だし(笑)。鏡なんか曇ってしまって、真ん中の変にぼーっと顔が映る程度。(汚れではなく、裏の銀が酸化して黒くなっちゃってるの。うちの洗面所の鏡もそうだ) あの汚いトイレを使い慣れていた者としては、こんなにピカピカだと緊張して出るものも出ない(笑)。
 で、教室も当然ゴージャスではあるのだが、むっちゃくちゃ使いにくいの! たとえばAV機器は黒板、じゃなかったホワイトボードの裏にすべて格納されているのだが、リモコンもないので、手で操作しなきゃならない。英語の授業ではテープやCDをチマチマ送ったり止めたりをくり返すのに、部屋の隅っこにしゃがみこんだままで授業ができるかっての! 要するに映画とかを流しっぱなしにするにはいいんだけど、それ以外には使えない。CDやビデオをいちばん使うのは語学なのに、語学に使えない施設作ってどうするの。しょうがないから重たい旧型のカセットテレコを毎回持参しないとならない。
 ノートパソコンも教室に備え付けなので、「やった!」と思ったが、(盗まれないように)固定されていて、それも腹のあたりに出てくる。立ったままじゃ画面が見えないし、しゃがもうとするとホワイトボードにはさまれて首つりみたいになる。誰が使うんだ、こんなの! 文句を言ったら、「皆さん、使いにくいっておっしゃるんですよねえ」って、わかってるならなんとかしろ!
 どうせ、パソコンなんてさわったこともないやつが設計したんだろう。ありえないことではない。というのも、前いた短大で、パソコンを新しくするとき、「他に誰もわかる人がいないから」という理由で私が業者の話を聞いたのだが、(この私がだよ! それだけで大学のIT環境の貧しさがわかるが)、やってきた営業ウーマンは明らかにパソコンのことを何も知らない人だった。
 まさかITセンターもある早稲田でそんなことはないとは思うけどねえ。大学のやることってたいていこういうふうに的はずれなんだよねー。要するに、設備なんかはいちばんリベートくれる業者で決めちゃって。(早稲田がそうかどうかは知りませんが)
 だいたい、会社の会議室みたいな無機的な教室は居心地が悪い。教室はやっぱり古い木の教室のほうが落ち着くし、勉強らしい雰囲気になるよねー。

 今読んでいる英国ミステリで、たまたま主人公が教師なのだが、教師を「耐えがたい職業」と断言しているのに苦笑した。というか、だいたい私の知ってる教師はみんなそう言ってるなー(笑)。だったらなんでみんな辞めないのかというと、給料は安いけど、長い休暇があるとかいったメリットは別として、だいたい教師は世間知らずで、つぶしがきかないせいだと思って納得している(笑)。もちろん、立派な志を持って教師をやってる先生もいますけどね。でもそういうのは一種のマゾ、というのはあんまりだが、困難な状況でがんばる自分に一種のプライドを持っているせいだと思う。
 それで教員室へ行けば、出るのはグチばっか。今日は「学校というのは、社会に出したら何やらかすかわからない危険なガキどもを、一定期間、隔離監禁しておくための場所だ」というすごい話になった(笑)。うーん、真理だ(笑)。これは冗談ではなくて、ひとりの先生が勤めていた高校では、「高校やめたら何するかわからないから退学なんてさせないでください」と警察署からお願いが来たとか。
 ということは、学校も立派に社会に貢献しているわけで、えらいなー。だいたい大学生も3、4年になると、見違えるようにしっかりして大人っぽくなる。別に教育の成果じゃなく、単に年のせいだと思うけど(笑)。でもそうなるまで私たちが預かることで、社会や家庭を守ってあげてるんですからね(笑)。

 教師が耐えがたい理由のひとつは、べつに勉強したくて学校に来てるわけじゃないやつを教育しなきゃならないせいだと思う。想像してみてほしい。あなたが自動車教習所の教官だとして、まったく自動車の運転覚える気のない生徒の隣に、単にお金払ってくれてるからという理由で1時間かそこら座ってなきゃならない苦痛を。何しろやる気がないから人の指示も聞かないし、何度口を酸っぱくして言っても覚えない。1メートル進むごとにエンストを起こし、それどころかそもそも発進することもできないみたいな。
 教習所の教官は私たちみたいな聖人じゃないからまずキレるな(笑)。ところが実際は運転したくないのに教習所に行く人はいないという不思議。大学はどっちかというとそういう人でいっぱいなのに。これが大学全入時代なんて来たらどうなるのか、想像するだけで恐ろしい。
 私の考えでは、大学はこんなにいっぱいいらない。それより自動車教習所や理容学校を増やすべきだ。そのほうがよっぽど需要があると思うんだが。

 なんか学校の話というとネガティブなことばっかり言ってすみませんね。でもこれが事実なんで、だから私は大学辞めたわけでして。
 もちろん学生はかわいいけどね。というか、彼らは単に同じ年齢層と言うだけで、社会の縮図そのものだから、当然中にはすばらしい人もいるし、いやなやつもいるのだが、なぜか教師は自分の学生はみんないい子だと思うらしいから(笑)。

2005年4月24日 日曜日

今日はやかましい音楽のはなし

 イギリス帰りの友達におみやげとしてもらった「いぬ」のシングルを聴く。そう、前に「あんまりな名前」と書いたDogs。まったくなんとかしてほしいよねー、最近のバンドネームは。
 で、これを聴いたら、なんでこのバンドをいいと思ったのか、すぐにわかった。ボーカルの声がJoe Strummerそっくりなのだ。前にDead 60sについて、「ボーカルがJoeに似てない」と文句を言ったが、こっちは本当にそっくり! つまりドスのきいたセクシーなハスキーボイスで、Joeに似てるかどうかはともかく、ロックシンガーとしては得難い素質と言えよう。とにかく私はボーカルの声だけで毛嫌いするバンドが多い中、この人(Johnny Cookeという名前)は文句なく好み。
 これで曲が良かったらいいのにねー。というわけで、曲と演奏に関しては「‥‥」。一本調子のスリーコードで飛ばすよくあるタイプ。この人がDead 60sに入ってくれればいいのに(笑)。というか、この人がKasabianに入ってくれたら私は大歓迎するんだが(笑)。Kasabianもどーもボーカルがぬるいんで。
 ついでにどんな顔してるのか、オフィシャルサイトへ行ってみたら、なんか声にぜんぜんそぐわない、青臭い普通の兄ちゃんだった。

 あと、最近自分で買ったのはNine Inch Nailsの新しいシングル“The Hands That Feed”。それほどすごく聴きたいってわけでもなかったんだけどね。Nine Inch Nailsにはちょっと飽きてきてるところだから。ただ、HMVのサービスカードがほしかっただけで(笑)。
 実はNine Inch Nailsは私が好きで集めている(いた)唯一のアメリカンバンドである。最近、どっちかというと耽美系ばっかり聴いてるが、本当はノイズ系(最近じゃラウド系って言うんですか?)も好き。Nine Inch Nailsは、ちょうど同じ頃デビューした、似たようなトラウマ・バンドNirvanaが騒がれたのにくらべて、「こっちのほうがぜんぜんいいじゃん」と思ったのと、エグいビデオと、それとは裏腹なアーティスティックなアートワークに惹かれてファンになった。
 ただ、“Downward Spiral”を頂点にどうもテンション落ちてきたなーと思っていたのだが、この待望の新作もやっぱりそんな感じ。私がラウド系を嫌うのも、怒りや暴力性を維持するのはむずかしいからなんだよね。ヒリヒリする「ヤバさ」を失ったこの手のバンドは、どうしても単なる様式に堕落していく。私の考えではメタルなんかは最初からそうなんだが。

 例によってのイギリスびいきで、これならやっぱりPigのほうがいいや。えー、Pigというのはイギリス版Nine Inch Nailsです(笑)。暴力性や破壊力はNINほどじゃないけど、音楽はもっと複雑で、曲はずっとおもしろい。
 実はNine Inch Nailsを初めて知ったときは、「これは絶対コレクター人気が出るタイプのバンド」だと思って、自分でも集めてたし、お店でも日本盤を売ってきた。ところがこの予想は完全にはずれ。コレクターがいないわけないと思うが、うちの店ではさっぱり売れないし、他の中古屋を見ても山ほど売れ残ってる。
 逆に「売れるわけないなー」と思ったが、自分が好きなので置いていたPigはよく売れる。うむ、やっぱりこっちのほうが上等なんだな。NINのコレクションはやめてこっちを集めようかしら? しかし、なぜつねにマイナーに流れる?(笑)

 しかし自分で書いてて思ったが、これが50近いオバサンの聴く音楽か!(笑) 自分だからいいようなものの、これが他人だったらちょっと警戒するね、私は。変な人かもしれないと思って(笑)。だから、学生にタメ口きかれても怒れない。内心、自分もコドモだと思ってるから。でも、ヘビメタおやじよりはまだましか(笑)。メタルは私でさえも子供っぽいと思うもん。(いつもながら私が悪口言うのは、ほんとは好きだからですからね)
 でも私の最近の音楽友達も皆さんけっこうな年だし(失礼! それでもみんな私より若いけど)、私ががんばってるのを見れば、みんな年を取っても好きな音楽聴いててもいいんだと思ってくれるかもしれない。というわけで、ひそかに「年甲斐もない音楽ファン」の養成に尽力しているじゅんこです(笑)。

2005年4月30日 土曜日

(忙しいので今日は断片だけ)

 皆さん、ゴールデンウィークをお楽しみですか? 遊ぶ金もないし、人が遊んでいるときに忙しい私は毎日あたふた飛び回っています。なにしろ、GWというと、どこもセールをやるのでもっぱらレコード捜しに。例によってろくな収穫はないですけどね。でも「本家」Strangelove Recordsのコスギさんのおかげで目玉商品ができたので、今はカタログの更新中。

 最近めっちゃくちゃ健康的な生活してる。朝はちゃんと7時に起きて、午前中に出かけ、日の暮れる前にちゃんと家に帰って、それからパソコンに向かい、夜はちゃんと12時に寝るという。歩きまわるから運動量もかなりのものだし、食事はきちんとダイエットしてるし(野菜と豆腐中心のメニュー、間食はしない)。おかげでめっちゃくちゃ体調が悪い(笑)。
 そうなんです。長年の不摂生のせいか、私は寝たいときに眠り(つまりほとんど一日中寝てる)、食べたいときに食べたいものを食べたいだけ食べるという生活してるほうが、よっぽど調子がいいんだわ。でも前にも書いたようにそれだと社会生活が破綻するので(笑)、少なくとも大学のある間はできない。あー、私は猫になりたい!

 ここでいきなり音楽ニュース。ついについに、待望のPatrick Duff(元Strangelove)のソロアルバムが完成! と言っても、待ちこがれていたのは私の他1名しか知りませんが(笑)。完成も何もとっくの昔にできてはいたんだけど、出してくれるレコード会社がなくて苦労しているという話を聞いていただけに感無量。6月20日発売とまだだいぶ先なんだけど、待ちきれない!
 彼はSuedeを失業したAlex Leeとまたつるんでいるようだ。アルバムに誰が入ってるのかもわからないので、それも楽しみ。
 しかしアマゾンで3210円か。高い〜! これなら直輸入した方が安いな。でもレコファンに入る可能性もあるから予約したくてもできないつらさ。

 レコファンと言えば、New OrderのLPを買いに行ったらどこも売り切れで、これも東京中捜してようやく入手。こんなのどこでも売ってるが、私はLPに3000円なんて出せないので。2500円でも高いと思うけど、それでも向こうから買うより安いから。というのも、LPは今ではほとんどコレクションのためだけに買ってるようなものだが、New Orderのコレクターなんて星の数ほどいて、誰でも持ってるものにそんな大金出すなんてもったいなくてしょうがない。でもやっぱりNew Orderみたいな本命バンドは買わないわけにはいられないというつらさ。
 それにくらべ、えーと、たとえばStrangeloveのアナログすべて持ってる人はそうはいないから、こういうマイナーバンドはちっとも高いという気がしないのだ。私がついマイナーバンド集めに走ってしまうのはこういう心理もある。

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